2019年9月会山行

期間:2019年9月14~16日

山域・目的地:朝日連峰・朝日俣沢岩魚止沢

メンバー:L.鏡、西田、後藤、田中、伊藤、安田(匡)

コース・タイム: 9/14 9:15 朝日鉱泉駐車場 出発 11:00 二股 朝日俣沢入渓 13:00 下の大沢出合 16:16 940m天場(泊) 9/15 7:28 天場出発 9:11 岩魚止沢出合下 11:00 50m大滝上 12:26 1480m二股 14:00 中ツル尾根登山道1820m 遡行終了 14:11 大朝日岳頂上 15:00 銀玉水 16:00 小朝日岳 17:04 鳥原山展望台 17:26 鳥原小屋(泊) 9/16 7:30 小屋出発 金山沢へ下降 10:25 登山道渡渉点 登山道へ 12:00 朝日鉱泉駐車場 帰着

報告:  沢を詰めて大朝日頂上に登りたい、ということで夏の会山行で朝日俣沢を目指したのが2015年の8月だった。この時は雪渓に阻まれ雨にも降られて途中から引き返した。この時の経験から行くなら9月の雪渓が消える時期、と考えていたが、今回4年越しのチャレンジとなった。朝日の沢の経験があるメンバーも少なくなったが、一泊で帰るという安田君を加えて6人のパーティとなった。記録を見ると朝日俣沢は1泊で抜けているパーティが多いようだが、3連休だし下山の長さも考えて2泊とし、大朝日小屋の混雑を避けて2泊目を鳥原小屋とした。2泊目の酒・食料の重さを懸念していたら、なんと伊藤さんが前週に小屋に荷上げをしてくれた。天気もばっちりの予報に恵まれた。  9/14  予定通りに朝日鉱泉に到着。しかし駐車場は予想以上の混雑ぶり。手前の林道路側に車が並んでいる。伊藤、田中、安田の3台を分散して駐車、準備を整えて朝日鉱泉の横から登山道に入る。周年禁漁の看板を見てすぐに吊り橋を渡る。黒俣沢との二股まで朝日川沿いの登山道を歩く。軽量化したはずなのに荷物が重く汗だくになる。二股から入渓すると水はまだ冷たくなく気持ちいい。入渓後すぐにちょっとしたゴルジュになるが、それを抜けるとしばらく川原状の渓相で坦坦と進む。下の大沢出合、上の大沢出合で生体調査と竿を出すもの3名、しばし行程がストップする。先行パーティがいるらしくそのせいか生体調査は芳しくないようだった。ボウズ2人のうちの1人安田君は過去に朝日俣沢を登っているのだが、全く覚えていないとのことであまり頼りにならない。天場は940m地点以外にはないという情報なので、今日はともかくそこを目指す。上の大沢出合を過ぎると滝場が出てきて両岸が迫ってくる。滝を巻いたりロープを出して登ったりの繰り返しになる。ゴルジュの中の7m滝は滑りそうな外傾壁でいやらしかった。16時を回って天場予定地に到着。先行パーティ3名がすでに陣取っていて、あまり良い場所はなかったが、雨は降らないということにして中洲状の岩の間の平なところに場所を定める。タープを2枚張り豪勢に焚き火をすると、星も見えてなかなか快適だった。軽量化したはずの割には大量に出てきた酒も飲み尽くした。  9/15  同宿のパーティは6時頃出発して行った。こちらはいつもの調子で結局7時半の出発。天場のすぐ上が大きな直瀑になっているので最初が高巻き。先行パーティの踏み跡もありすんなり滝上にでる。西田さんは一人滝身近くを登ったようだった。少し登ると下岩魚止沢の出合、小さな雪渓の欠片が側壁に引っかかっている。今回はこれが唯一の残雪だった。その先は側壁が狭まったゴルジュになり所々ロープを出して登る。5m滝の次の4m滝で後藤君が果敢に水流に突っ込みずぶ濡れになるが、他のメンバーは皆、右の側壁に逃れる。後藤君も結局側壁を登ってきた。今日も好天だがもうシャワークライミングはためらわれる気候になった。一旦ゴーロ状になり沢が右に曲がった後、再びゴルジュ状に側壁が切り立つが、沢底は水が少なくゴーロ状なので簡単に高度を稼いでいく。やがて正面本流がチョックストン滝で落ち、右側壁から枝沢が流れ込んでいる。この右の枝沢が岩魚止沢らしい。中間のもろい岩場を登って岩魚止沢に入る。最初の滝場を巻いて一段上がると河原状に開けてその上に大滝50mが落ちている。ここで自分が先頭に立っていたので、そのままロープを出してルート工作。安田君がなぜかここはルートを覚えていて指示してくれたのでそれに従う。一段上がったところの一箇所がいやらしく、ピンを1本打って這い上がると後は外傾スラブ状だが難しくない。40mロープではとても上まで届きそうもないので、適当なところでピッチを切ってフィックスする。次に登ってきた後藤君から別のロープをもらい、さらに上にロープを伸ばす。テラス状でピッチを切り1本ピンを打つと少し奥に残置が1本あり、ここで後続を待つ。今回のように6人と人数が多い場合はロープワークが多いと時間がかかってしまうが、1箇所ごとに全員集合するのではなく、ロープを持った人が早めに上がって先行しその先にルート工作するのが時間をかせぐ方法だ。今回は足並みも揃っていて6人パーティの割には順調な登高ペースだった。  大滝を越えても草原の中にずっと連瀑帯が続いている。沢は明るく開けていて滝の傾斜も緩いものが多いので、ぐいぐい高度を稼いでいく。1480mで二股となり休憩。今年のGWに田中さんと岩魚止沢源流をスキーで滑降したのだが、この時は平岩山側の稜線から左俣のほうに入り、大滝の手前まで滑って登り返した。今回は右俣を登って直接山頂を目指す。この後も小滝が続き、高度を上げていくと稜線が近づいてくるが疲れで足取りは重くなる。水が枯れて最後は急傾斜の草付きの登りになる。簡易スパイクを装着する人、自分はフェルトわらじを脱いでスパイク地下足袋になるが、フェルトソールのままの人は足元が滑るので苦労していた。そろそろ時間が気になるが、2時前に中ツル尾根の登山道、山頂にわずか手前に出た。  久々沢登りの安田君も最後は疲れたか山頂に行くのを渋っていたが、皆に迫られて全員で大朝日頂上に登頂。山頂の登山者に記念写真を撮ってもらい、沢から来たというと驚いていた。ここで本日下山の安田君は中ツル尾根へ。5人は今日の泊まり場、鳥原小屋へ。予想通り大朝日小屋は大混雑らしい。伊藤さんが荷上げしてくれたビールだけを楽しみに、疲れた体を引きずるように縦走路を進む。見下ろす黒俣沢、Y字雪渓にも今年は全く雪が残っていないようだ。熊越からの小朝日の登りは、これさえ越えればと諦めの境地で足を出すが汗をたっぷり絞られた。鳥原への道も長く長く感じられたが、予想の5時を過ぎて5時半近く、管理人さんの元気な大声に迎えられて鳥原小屋に到着。木内さん、坂本さんが冷やしたビールと共に待っていてくれた。  この日の鳥原小屋の泊まりは11人。2階を我々7人で占領してもガラガラの状態だが、鳥原小屋では珍しい盛況らしい。伊藤さんの「合宿並み」の大量荷上げ品に預かって今夜も大宴会となった。途中から管理人さんが呼びに来て、別棟の神社内で他のお客さんも交えて宴会の続きとなり、伊藤さんの合宿飲料もあらかた飲み尽くした。(一部は神さまにお供え)  9/16  大朝日の山頂を目指す木内・坂本パーティは5時台に出発。下山のみの我々パーティは小屋の最後発となる。のんびり食事をして片付けて出発。やはり今日も7時半だ。強烈なキャラの管理人さんにお礼を言って小屋を後にする。出がけに聞いた山寺の事故のニュースがちょっと気がかり。  朝日鉱泉に降りる木道を少し進み、大きな池塘のあるところから藪をこぐとすぐに沢型に入る。間も無く水流が出てきて金山沢の源頭に入る。しばらくは坦坦とした下りだが、途中から滝が出てきて懸垂下降になる。何もないだろうという予想は外れ、意外に滝場が出てくる。小雨も降り出し、釜に懸垂もあってまた今日もずぶ濡れになる。印象的だったのは狭いゴルジュにチョックストンが挟まりその前後から水流が落ちて「穴滝」状になった箇所。2時間ぐらいで降りられるかと思いきや、ロープを出すところが多く、結局登山道まで3時間近くかかった。  登山道に出て朝日鉱泉までの下りも、細かいアップダウンが多く3日目の脚に効いてくる。幸い雨はまだ本降りにはならないうちに朝日鉱泉に帰着した。3連休も終わりで駐車場にあふれていた車もほとんどいなくなっていた。りんご温泉に移動して風呂に入る頃には本降りの雨となった。昨日までの好天といい、天気にも恵まれた山行だった。  朝日俣沢に4年越しのリベンジが叶い、また春のスキー滑降と夏季の沢からの登頂を同じ年に達成でき、個人的には大満足であった。また6人での遡行ながら足並みが揃い、朝日の沢でも順調に遡行できたのも収穫であった。この時期は雪渓のリスクも少なく、あのアブもいなくなり朝日の沢には一番良い時期と思われる。これなら来年以降も荒川や見附川なども登れるかも、と欲が出てきた。サポート隊の木内さん、坂本さんと、荷上げまでしてくれた伊藤さんには感謝感謝です。 以上 (記 鏡)